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武内 伴照; 中野 寛子; 上原 聡明; 土谷 邦彦
Nuclear Materials and Energy (Internet), 9, p.451 - 454, 2016/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.71(Nuclear Science & Technology)無機絶縁(MI)ケーブルは、耐熱性,絶縁性及び機械的強度に優れ、原子力用計測機器の計測線として使用されている。日本が提案する核融合炉ブランケットは高温高圧水で冷却する方式であるが、軽水炉及び核融合炉の運転時には、水の放射線分解により、溶存ガス量が変化し、シース材に影響を与えることが懸念されている。本研究は、シース材としてSUS304及びSUS316を選定し、高温高圧水中の溶存酸素,水素及び窒素量の変化による機械的特性への影響をSSRT試験により調べた。まず、PWRの高温高圧水環境下325C15MPaで溶存酸素量約6ppmの条件下において、ひずみ速度の影響を調べた。その結果、両鋼材ともに、ひずみ速度が遅いほうが引張強度が高かった。一方、溶存窒素量約20ppm程度の試験では、ひずみ速度が遅いほうが引張強度は低く、破断伸びが小さかった。破断面のSEM観察を行ったところ、試料表面部に脆性的破面が見られ、その表面深さは、ひずみ速度が遅いもの、すなわち高溶存窒素環境をより長時間経験した試料のほうが深かった。さらに、窒素に加えて溶存水素量を約50ppbにして行った試験では、窒素単独時よりもわずかに脆性破面率が高く、引張強度が低かった。以上から、高温高圧水環境において、溶存水素とともに、溶存窒素もステンレス鋼の機械的特性に影響を与えることが分かった。
高橋 常夫*; 石原 正博; 馬場 信一; 荒井 長利; 林 君夫; 小西 隆志*
JAERI-Research 2001-005, 62 Pages, 2001/03
微粒等方性黒鉛(平均粒径20m)を基準試料とし粗粒含有率(平均粒径125m)の異なる黒鉛材料を用いて曲げ強度試験及び破壊靱性試験を行い、粗粒含有率が強度及び靱性に与える影響を検討した。また、微細組織に基づく強度分布予測手法の曲げ試験結果への適用性を検討した。曲げ強度は、粗粒含有率0%と比較して含有率40%では平均曲げ強度の増加と強度のばらつきの減少が認められた。画像解析からもとめた気孔径分布の統計結果との関係においては、粗粒含有率の増加に伴う平均気孔間距離の増加及び大径気孔部分における気孔径分散と強度分散との正の相関関係が認められた。破壊靱性値に関しては、応力ひずみ線図の非線形応答開始点と最大荷重点における破壊靱性値の検討を行った。き裂進展開始荷重に基づく破壊靱性値は、粗粒黒鉛を含有することにより増加するものの含有率(20%,40%)による違いは認められず、低い含有率で破壊靱性値が飽和する傾向を示した。一方、最大荷重に基づく破壊靱性値は、粗粒黒鉛の含有率が増すにつれて増加し、含有率による違いが認められた。さらに、単軸応力状態下で提案されている気孔径分布を考慮した確率論的強度分布予測モデルを曲げ強度試験結果に適用し、実験結果をおおむね一致する結果を得た。
石原 正博; 高橋 常夫*; 塙 悟史
Proceedings of Asian Pacific Conference on Fracture and Strength '01(APCFS '01) and International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics '01 (ATEM '01), p.152 - 156, 2001/00
黒鉛材料の微細組織構造と引張強度との関連性について、微細構造を考慮したBurchellの提案する確率論的な破壊モデルにより検討した。検討の結果、(1)微細構造として破壊を支配する因子として気孔サイズ及び粒径を考慮した本モデルは、気孔サイズとして実測した対数正規分布を考慮すると平均強度のみならず強度分布も良く一致実測データと一致すること,(2)強度分布はワイブル分布に良く合うこと,(3)気孔サイズを一定として粒径を小さくすると強度が上昇するが気孔サイズが粒径サイズに比べて相対的に大きくなるため強度のばらつきが大きくなること,(4)粒径が一定として気孔サイズのばらつきを大きくすると強度が低下するとともに強度のばらつきも大きくなることを明らかにした。
鈴木 哲; 江里 幸一郎; 佐藤 和義; 中村 和幸; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design, 49-50, p.343 - 348, 2000/11
被引用回数:5 パーセンタイル:37.66(Nuclear Science & Technology)サドル型及び平板型断面をもつダイバータ試験体の熱疲労実験について報告する。試験体の冷却管はアルミナ分散強化銅(DSCu)を使用しており、従来の無酸素銅製冷却管に比べ、強度に優れている。実験はITERダイバータ板の熱負荷条件を模擬して、熱負荷5MW/mの下でくり返し加熱を実施した。この結果、試験体の冷却管は約400サイクルの加熱で一部が破損し、冷却水の漏洩が認められた。SEMによる観察では、冷却管内外層にクラッドした無酸素銅皮膜には疲労破面に特有のストライエーションが認められたが、DSCu層には顕著な疲労の痕跡は観察されなかった。DSCu層の破面は無特徴であり、脆性的な破壊の様相が認められたため、冷却水バウンダリを構成する部材としてDSCuを使用するには、特に応力集中部の寿命評価に十分な注意を払う必要があることがわかった。
田口 富嗣; 井川 直樹; 山田 禮司; 二川 正敏; 實川 資朗
Proceedings of 24th Annual Conference on Composites, Advanced Ceramics, Materials, and Structures A, 21(3), p.453 - 458, 2000/00
SiC/SiC複合材料は、優れた高温強度を有し、さらに低放射化の観点から、核融合炉への応用が期待されている。これまでに、BN層で界面処理した繊維を用いて、優れた結果が報告されている。しかし、核融合炉環境下ではBNは放射化等の点で大きな問題となる。そこで、本研究ではBN層の代わりに、ポリマー含浸焼成(PIP)処理により多孔性SiCを、または化学蒸気浸透(CVI)処理によりC及び-SiCをコーティングした繊維を用いた。これらの繊維を用いて、SiC/SiC複合材料を、緻密な試料を作製可能な反応焼結法により作製した。その結果、高密度(2.7g/cm)の試料を作製できた。3点曲げ試験の結果、無処理繊維及びPIP処理繊維を用いて作製した試料は、脆性破壊を示した。一方、CVI処理繊維を用いて作製した試料は、非脆性破壊を示し、高い破壊エネルギーを有した。
鬼沢 邦雄; 飛田 徹; 鈴木 雅秀
JAERI-Research 97-081, 36 Pages, 1997/11
原子炉圧力容器用鋼材の延性脆性遷移温度域におけるへき開破壊開始時の破壊靱性値を精度良く求めるため、4種類の国産圧力容器用ASTM A533B-1鋼を使用して、予き裂付シャルピー型破壊靱性(PPCv)試験片の適用性を検討した。PCCv試験片と標準型1T-CT試験片から得られる破壊靱性値の間に認められた試験片寸法効果を補正するため、最弱リンク理論に基づく補正式をPCCvデータに適用した。しかしながら、鋼材により寸法効果は十分に補正しきれない場合があることがわかった。また、ASTMで提案されているマスターカーブ法を適用し、PCCv試験片の試験結果から破壊靱性遷移曲線の照射によるシフトを求めると、シャルピー41Jレベルの遷移温度シフトより大きいことが示された。さらに、試験片の破面観察により、へき開破壊前の延性き裂成長及び破面上のへき開破壊の起点について特徴付けを行った。
田口 富嗣; 井川 直樹; 山田 禮司
Proc. of 2nd IEA/JUPITER Joint Int. Workshop on SiC/SiC Ceramic Composites for Fusion Applications, p.97 - 100, 1997/00
SiC/SiC複合材料は、非脆性的に破壊し、高温強度が高く、低放射化であるということから、核融合炉への応用が期待されている。その材料を核融合炉環境で用いる場合、冷却材として用いるHeの高圧力に耐えることが必要である。また、繊維と母相の界面にBN等の高放射化材を含まないことが不可欠である。本研究では、高密度の材料を作製できると考えられる反応焼結法を用いた。さらにBNをコーティングすることなく、繊維と母相の癒着を防ぐために界面をプレカーサー法で改質した試料を作製し、その密度と破壊応力を測定した。その結果、密度は2.5g/cmであった。界面をプレカーサー法により改質することにより、非脆性破壊挙動の徴候を示し、破壊応力は110MPaであった。
渡辺 勝利; 實川 資朗; 浜田 省三; 古平 恒夫; 菱沼 章道
Fusion Engineering and Design, 31, p.9 - 15, 1996/00
被引用回数:6 パーセンタイル:50.18(Nuclear Science & Technology)高速炉JOYOにおいて、668-683Kで最大損傷量22dpa、最大He量9appmまで照射された316オーステナイト鋼を用いて、TIG溶接法による照射後溶接性について検討を行った。得られた結果は、非照射材では溶接金属部破断に伴う延性破壊モードを示したのに対して、照射材では高温(773K)のみならず室温においても粒界脆性破壊モードを示し溶接熱影響部において破断した。照射材で見られたこのような挙動は溶接入熱による粒界He気泡形成と密接に関連しているものと考えられる。
鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
IWG-LMNPP-95/5 (Vol. I), 0, p.279 - 293, 1995/00
原子炉圧力容器鋼材の延性脆化遷移温度における破壊靱性評価法について、統計手法及び破面観察による検討を行った。主にシャルピー型の破壊靱性試験片を使用し、IAEA共通鋼材JRQの評価を行った。ワイブル型の統計解析により、シャルピー型試験片で下限破壊靱性を評価できることがわかった。ただし、この場合10本程度の試験片が必要となる。破面観察からは、延性き裂が発生している場合に、延性き裂発生点の推定が可能であり、それにより保守的な評価が可能である。統計手法により求めた破壊靱性遷移曲線の中性子照射によるシフト量は、シャルピー遷移曲線のシフトよりも、やや大きいことが示された。
鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁
no journal, ,
BCC金属と合金は構造材料として広く使用されているが、低温では脆化しやすい。しかしながら、その脆性破壊のメカニズムは完全には理解されていない。本研究では、BCC鉄のへき開破壊の3次元分子動力学シミュレーションを行った。本研究では特に、湾曲したクラックフロントを有するいわゆるペニー型のクラックから始まるモードI変形に焦点を当てた。シミュレーションの結果、{100}面のへき開では脆性破壊が観察されたが、他の面では転位の射出によりき裂が鈍化した。この結果は一般的な実験的観察、すなわちBCC遷移金属では{100}面において優先的にへき開が観察されるという結果に一致した。